大船と灯台 | |
「もうそろそろ目的地に
着くころだ。 まわりが暗くて 何も見えないけど・・・ |
|
「この大きな船にしっかりと引っ張っても
らっているから、安心さ。仲間も大勢いるし。 それに、船内放送も親切に何度も 案内してくれているし」。 |
|
≪ご案内いたします。
大変長らくお待たせしました。 本船はまもなく目的地へ着きます。 まもなくです≫ |
|
「あれ!?
別のボートが近づいてくるぞ」 |
|
「おーい、大変だぞ!
あんたたちの船は、 危険な暗礁に向かっているぞ。 あっちが正しい方向だぞー」。 |
|
水平線のまぎわに、それまでは 注意していなかったので気づき ませんでしたが、ほんの小さな 光の点が見えるではありませんか。 明らかに、目的地の灯台の光です。 「早くこの船を離れないと、 |
|
さて、みんなはどうするでしょうか
「おれはこの大きな船を 気に入っているんだ。 きっと何とかなるさ」。 |
|
「わたしの友人たちは、
この船を離れないつもりなんだ。 友人を残してまで いくことはできないよ」。 |
|
「うるさいな!生意気に。
こっちは自分の意思で 行動しているんだ。 もう来ないでくれ」。 |
|
「確かにあなたの言うとうりだ。
だが少し考えさせてくれ」。 |
|
「気づかせてくれてありがとう。
さっそく離れることにしよう」。 しかし、まわりにいた 他の人々はいうのでした… |
|
「あんなおろかな情報を 信じるなんてばかなやつだ」 「もうおまえとは絶交だ」 「おれたちを見捨てるのか」 「ばかなまねはよせ」 |
|
しかし、Eは反対にもめげずに
ロープを断ち切ったのでした。 「えい!!」 |
|
「さあ、残された時間は少ないぞ。
手遅れにならないうちに みんなに急いで 知らせなくっちゃ」 |
|
こうしていくそうかの船は、
大きな船を後にして 灯台の光を目指して 進んでいくのでした。 |
|
「おーい、がんばれよー」
「もうすぐだぞー」 みんなは互いに励まし合って 船をこぐ力を得るのでした。 |
|
一方、大きな船のほうは・・・
「おい、やっぱりこの船、 「おれも今そう思っていた |
|
そうしているうちに、この大きな船は あちこちが壊れていることに 気がつきました。 ≪大変ご迷惑をおかけしています。 ただいま本船には、軽い故障が 発生したため、ほんの一時的では ありますが、航行不能となっており ます。修理の資格のある方、また、 修理のための資材がありましたら、 ご連絡ください。この船をみんなで 直しましょう≫ |
|
しかし、十分な資材も、 十分資格のある人も 見つかりませんでした。 人々は、修理の仕方や |
|
そうこうしているうちに・・・
「大変だ!!大きな船の |
|
しかし、そのときは手遅れでした。
船は暗礁に乗り上げて、 小さな船に乗っていた 大勢の人もろとも、 海の底にしずんでしまったのです。 |
|
一方、光を目指して大きな船を すぐに離れた少数の人々は、・・・ 「見ろ!陸地だ」。 「わーい」 生き残ったのでした。 |
|
著作権 GH 製作日 1995/5/13/(土) 初版完成 1998/9/21/(月) ネット版完成 ★★★END★★★ |